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2015.07.25

【芝居】「ありふれた話」猫の会

2015.7.22 20:00 [CoRich]

平日20時開演がありがたい70分。空洞。26日まで。

昭島で親戚との食事会に行った帰り、高校生の頃歩いていた路地に寄り道をすると話しかける猫がいた。
帰宅途中の電車の中で同級生の女性に久々に会い、軽く飲みに行って、浮気する旦那の愚痴を聞くうち、誘い誘われて鎌倉へ。帰りたくない気持ちのまま、久里浜、千葉。そういえば親戚の食事会に顔を出していた従姉妹は駆け落ち同然で出て行ってからだから二十年ぶりだった。

猫に「境目に居る」と話しかけられる序盤から、大蛇が出てみたり小人が横断歩道を歩いてたりと、幻想のなかをふわりふわりと浮かぶように運ばれる物語。久々の同級生に出会って旦那の浮気話を聞いて会社をサボって幾晩かを伴にするのも、従姉妹の女性とのつかの間の会話にしても、そんな夢のように事が巧く運ぶなんて、というぐらいにめくるめいていて、これすらもどこかふわふわと想いの中を漂うよう。それも男の視座というばかりでなく同級生の女性の視点にちょくちょく切り替わって語られたりもして、決して安定した語り口ではありません。

この全てが夢かも知れない、といってしまうと身も蓋もないけれど、何か手詰まりのままもやもやした気持ち、それを見透かす猫。手詰まりのもやもやはまた従姉妹の女をも覆っていて、その「境目」をうろうろしているいわば危険領域ギリギリゆえに見えてくる何か。いくつかの気持ちが点描されているようで、物語そのものの辻褄とか流れというよりは、気持ちを感じ取るような読み方があっているかなと感じる一本なのです。

同級生と幾晩か一緒に泊まったといっても、結婚指輪を外した(まあ、十分だけれど)という以上には具体的には踏み込まないで描くのがまたちょっと色っぽく、想像力(というよりは妄想力)がもりもりと沸いてしまうのはオヤジなワタシの悪い癖。 妄想といえば、 従姉妹の女性は「八王子のおじさん」にとても憬れていたということを繰り返し描き、男はそのおじさんに似てきたな、ということだけを描くだけだけれど、従姉妹とおじさんの間に何かあっただろうし、その面影が見えてしまう男にも不思議と色っぽさを感じてしまってるだろう、というのもまあ見る側が勝手に補完した妄想。

男を演じた山ノ井史、もうどうでもいいと諦める感じ、あるいはデート的なことをして楽しい、というダメではあるけれど、男のホンネっぽい。まあ、それは作家の気持ちなのでしょうが。かっての同級生を演じた 高木充子は、真面目ゆえに、ちょっと楽しいと思って弾けて鎌倉、会社も休んじゃったという後悔だけれどずるずる行くけれど、夫の元に戻っていく、という全体を通してどのシーンでも説得力。ああいうノリでこられたら、アタシだって(そんなことはアタシには起こらないw)。猫を演じた菊池ゆみこ、序盤のカリカリも楽しいし、変幻自在に何処でも現れそうな軽やかさ、あるいは「八王子のおじさん」など狂言回しをきっちり造型する振り幅。従姉妹を演じた環ゆら、あからさまに語らず隠す色っぽさ、もっと見たい感じではあるけれど60分でこれだけの物語を詰め込んだあおりを食らった感じは否めません。

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