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2015.06.27

【芝居】「新・冒険王」青年団

2015.6.20 15:00 [CoRich]

青年団の人気作1980年を舞台にした「冒険王」(1)との交互上演になる新作は2002年、同じイスタンブールの日本人の多い宿を舞台にした130分。城崎をスタートしたツアーは、29日まで吉祥寺シアター。このあとソウル、来年の国内ツアーでは長野県上田市・三重県津市・兵庫県伊丹市・香川県高松市の4都市が予定されています。

2002年のイスタンブール、日本人、韓国人の多い安宿。サッカーワールドカップ、日本はすでに敗退していて韓国・イタリア戦が始まっている。向こうの部屋で中継をみんな観ているが、興味が無かったり、寝てたり、あるいは興味を失ったりの人々。
次の場所に旅立つ人、祖国に戻ろうかと考えている人、徴兵の通知が来ている韓国人、日本人の恋人。

今の日本の望ましくない空気を濃厚に反映しつつ、韓国人、日本人という隣国の友情を一瞬にしろ信じられたワールドカップを遠く離れた異国で観ている人々。もちろん、全てを許せている人ばかりではないし、そこには微妙な距離感があります。いわゆる在日三世の旅行者を登場させてさまざまな距離を持たせた語り口、あるいはその二者だけではなくて、アルメニア系アメリカ人に、アルメニア人の虐殺(wikipedia)を語らせて、必ずしも日韓の関係が特別なものではない、という視点を置いていて、どこでも起こりうることと描くのが巧いと思うのです。

日韓のワールドカップの2002年という時代の設定の絶妙さはもうひとつ。 1980の頃とはずいぶん時代が変わっていることも特徴です。韓国人のバックパッカーが増えて居たり、日本には阪神の大震災があったり。あるいはもう日本の経済がそれまでのような高度成長の望めなくなっていたり。あるいは、日本のアニメが大好きな韓国人、なんてキャラクタもこの時代っぽい。

「冒険王」が若き日の平田オリザがみていたある風景を切り取っていたのに対して、今作は俯瞰した視点で、日本と韓国、あるいは隣国同士の距離感を描いているな、と感じるのです。それはたぶん、今の日本のヤバさを感じた作家の危機感だと思うのです。

徴兵される韓国人の母親を演じたチョン・ジョンハは中盤、圧倒的なテンションで笑わせ、緊張をほぐす感じ。アルメニア系アメリカ人を演じたブライアリー・ロングの、ちょっと神経質に見える感じもなぜか印象的。韓国人の彼氏と付き合う日本人を演じた木引優子はフェイスペイントがまあ可愛らしい。在日三世の男を演じた佐藤誠は背の高さの説得力、とても微妙にどこにも立脚できない立ち位置の難しさをしっかりと。

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