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2015.06.01

【芝居】「爛れ、至る。」elePHANTMoon

2015.5.24 14:30 [CoRich]

31日までこまばアゴラ劇場。125分。

SMクラブに集う客の男たち。それぞれに贔屓の女王様がいて、時には野外でのプレイもあったりする。客の一人がSM嬢に刺される事件が起きるが、それはその男がまえからそうやって殺されたいと持ち続けてきた願望を成就させてもらった結果だった。

実は男たちの物語、と感じます。魅力的で人懐っこい男の秘めたる殺され願望、ここなら叶えてくれるかもしれないという切実さ。その男に心底惚れて心酔して、後を追おうとする男もまた切実ではあるけれど、それは殺されたいわけではなくて、憬れている先輩と同じ事をしたい、という気持ち。あるいはその自殺や殺されを止めようとする男のふわふわとした、しかしやけにある説得力。酷いことしまくりの軽い男。

終盤に挟まる回想シーン。殺されたい男、心酔してる男、止める男たちが、SM嬢のことを話すシーンがいいのです。リスペクトはもちろんしているし、プレイとして女王として崇めるけれど、プレイをはなれたこの空間で、ちょっとばかりそれぞれのSM嬢を品定めしあう、という空間はどことなく、芝居を観たあとに気心しれた観劇オジサンな友人たちと話す、女優たちの品定めにちょっと似ていて胸が痛むというかなんというか。

正直に云えば、2時間の上演時間は長く感じます。とりわけSM嬢たちのプレイのシーンは尋常な長さではありません。が、強く衝撃を感じた刺激ですら、上演時間の中であっという間に慣れ、飽きてしまう自分に驚くのです。もちろん男たちがそう感じるに至る何かを共有しようという意図は感じつつ、それはたとえば鞭打たれ続ける時間を共有したからといって観客が共有できるわけではないと思うのです。 そういう人が居る、ということのもう一歩先がほしいし、あるいはこの長さじゃなくて端折る、という「編集」でみたい。痛めつけられる肉体をそのまま見せる、という意味では「再生」にも似た印象がありす。

SM嬢たちのまあ、美しいこと。中村真沙海は後ろ姿の下着が美しいどころか、きっちりSMな女王様を演じきるけれど、むしろこれはこれでタフな役ではないかと思います。殺され願望の男に絆される表情がいい。 おそらくナンバーツーなSM嬢を演じた久保山智夏もまた、ナンバーツーゆえの哀しさを見せる後半が見どころ、ほんとにベッドシーン、というのも美しく、色っぽい。新人のSM嬢を演じた林奏絵は、可愛らしくみせて、プライベートだって同じ事やっちゃうあっけらかん、いわゆるペニバン付けさせられる戸惑いから快感というのはまあ、AV的な感じでよくあるように見えちゃうけれどこれは物語の責任でしょう。支え、普通の会話をする人々として機能する山口オン、菊池奈緒はそういう意味ではサポートに回って居るけれど、おそらくは年齢が上という立場としては正しく機能しています。死に向かいがちな男たちのなかで、ふわふわとしながらもそれをキッチリ止める関村俊介の演じた男がいい。これだけハードなプレイでもほんとうに喜んでるように見えちゃう永山智啓も凄いし、白い肌がみるみる赤くはれ上がる山田百次もちょっと凄い。

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