« 【芝居】「あの部屋が燃えろ」MCR | トップページ | 【芝居】「爆弾魔メグる」あたらしい数字 »

2014.11.13

【芝居】「幻の女(ひと)~台所の漱石・鏡子夫妻~」菅間馬鈴薯堂

2014.11.8 15:00 [CoRich]

10日まで上野ストアハウス。90分。いつものとおり、戯曲が劇団サイトで無料公開されていて、心意気が素敵です。

夏目漱石の家。妻のほか、子供たち、下女たち。癇癪持ちの漱石は植木職人や子供、妻に誰彼かまわず当たり散らす日常。祭りが近く、女たち、近所の男衆も集まって、踊りの先生を呼んで稽古をしていたりする。 住み込みの下女は出入りの薬売りと一緒に、付け火の犯人を捕まえようと見回りをするうち、近衛騎兵連隊に狐火が吸い込まれたのを見ると、火の手が上がり、軍馬を放ち町は混乱に陥る。
漱石の記念館を訪れた若い女はかつて祖母が漱石の家に出入りしていた、という。

夏目漱石と妻の物語を軸に、戸山が原の近衛騎兵連隊の火事と漱石が博士号を受ける受けないの話を交え、創作の人物も入れてその場所の人々を描きます。漱石の家、という舞台は固定しつつも、さまざまな断片をまぜあわせ、三つの時代を行き来し、夫婦喧嘩や時に手妻(手品)、占い師を送る男との夜道など、断片で作られたものを並べて見せます。それぞれの物語のつながりは薄く、あったかもしれない風景をさまざまに見せることで、結果的には時代の空気を感じる仕上がりに。

癇癪持ちで女を見下げている漱石に耐えてはきたけどいよいよ堪忍袋の限界が見えてきた妻、台所を舞台にした大立ち回り、という場面が圧巻の役者芝居。強い印象を残します。妻を演じた稲川実代子の迫力も、漱石を演じた小田豊のいけ好かない癇癪持ちと甘味に弱い落差も楽しい。 袴姿で刀を差し、夜回りに出かける下女を演じた黒岩三佳もきりりと格好よくてすてき。踊りの師匠を演じた鬼束桃子の踊りの美しさ、踊りのシーンというものが決して好きじゃないアタシだけれど、ここのはなぜか違和感なく見られるのが不思議。 二役で現代のちょっと浮いてる感じのイマドキな来館者も可愛らしい。占い師を演じた持田加奈子の怪しい造型、薬売りを演じた村田の不器用さ、ほのかに見える恋心から勇気を振り絞ったのにあっさりうっちゃられるのも哀しく、楽しい。

正直にいえば、断片で語られる物語が何かを云っているか、ということはよくわからないのです。役者も必ずしも器用な役者ばかりではありません。それでも、確実にその時代を舞台に作り上げる確かな力がきちんと隅々まで行き届くのが心地よく、

|

« 【芝居】「あの部屋が燃えろ」MCR | トップページ | 【芝居】「爆弾魔メグる」あたらしい数字 »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【芝居】「幻の女(ひと)~台所の漱石・鏡子夫妻~」菅間馬鈴薯堂:

« 【芝居】「あの部屋が燃えろ」MCR | トップページ | 【芝居】「爆弾魔メグる」あたらしい数字 »