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2014.09.26

【芝居】「弄ばれて」競泳水着

2014.9.20 19:00 [CoRich]

25日まで空洞。100分。

劇作家の男のアルバイト先に現れた人妻。公演をみにきたり二人きりで話したりするうち親しくなり、男の家に泊まるようになる。人妻にもかかわらず、はまりこんでいく男だったが、徐々に女は距離をとるようになり、ある日、その夫から会いたい、と連絡が来る。 恋愛模様を描くこともよくある作家ですが、作家の雰囲気をまとう男を主人公に据えるのはあまりない気がします。作家自身は受付卓の向かい、客席から丸見えな場所で音響や照明操作を担いますが、どうしたって芝居の向こう側にその顔がみえて、しかも主人公の風体もわざわざ似ている感じにしています。作家自身の体験のように見えて、(モテ無さをアピールしてはいても)まあそれぐらいモテるだろうなという説得力と、「それならありそうなシチュエーション」がならべられてもあって、やけに生々しく感じられるのです。それが私自身にリアリティもって感じられるかと云われると、そんな実体験は無いわけですが(泣)、まあそういうパラレルワールドもどこかにはあるかもしれない、ぐらいの飛躍感でみることができるのです。

語っていることは、ごくシンプルなこと。浮き名流しがちな優男が人妻に好意を持って盛り上がるうちズブズブな恋愛をし、でも女は別の男になびいて去り男はなかなか立ち直れない。ちょっと恨みがましい感じではあるけれど、でも去った女に対して嫌いにはなりきれない気持ちもある、女々しい感じだったりするのが、また作家の持ち味っぽくてワタシは好きなのです。その外側に、恋愛対象には決してならない敏腕制作の美しい女性、というのを配するのもちょっと面白い。それじゃダメになるという心の声を外側の人物として描いたのか、それともそういう人が現実に居たのかは知る由もないけれど、それはまるで自分を叱咤し見守ってくれる母親もしくは女神のような存在の女性、というものをどこか作家が求めてるんじゃないかと、思ったり思わなかったり。

女と男、二人きりで口説いたり口説かれたりという、一種の駆け引きのシチュエーションのシーンがとても好きです。台詞を少なめにして、長い長い沈黙、ほとんど動くこともなく表情の変化ぐらいにする描き方も、空白の妙は見事で、妙にドキドキするのです。 あるいは、フラれて無気力になった作家が書いた今作と思われる話に、でこれどうなの、浮気女の話なのか、何がしたいのか、とだめ出しをしたり、もう一度女優を口説こうとして作家がいなされるシーンもちょっと小気味いいし、作家が自分を外側から見てるということが見えて楽しい。「女優は他の現場に行けば他と仲良くなる(んだから彼女にするのは嫌だ」という台詞も、ワガママすぎてむしろ虚構としては書きづらくて、結果作家の本心がダダ漏れな感じで楽しい。

「実体験を描いて許されるのは、女性の劇作家だけ」(だから男である自分にはできない、という文脈で)というセリフが秀逸で、ワタシの廻り(twitterのTL含む)でわりと言及されることが多い、いわばバズワードになっています。2,3思い浮かぶあの女性の劇作家が描くのも本当に実体験なのかは知る由もないけれど、役者の名前をそのままにしたりして、そう思わせる作風というのは間違いなくあって、しかもそれはワタシの大好物なタイプの芝居でもあるのです。

劇作家を演じた和知龍範は無精髭、眼鏡が精悍で格好良く、でも情けないゆえの可愛さを併せ持ち。そうだ、これあまちゃんのミズタクだ、と思いながら。人妻を演じた外村道子はフラットで静かで、男に対しての「大人の女」像をしっかりと。その夫を演じた市原文太郎はともかく作家のことは最後まで信じ切ってるというイノセントさ、真っ直ぐで真面目な造型ゆえに、ズレがコミカルさを生んでいるばかりではなく、もう一度彼が芝居を観にくる、妻が妊娠してることを告げられるという終幕をきっちりと。ダブルキャストだった敏腕制作役は、アタシの観た回は金子侑加で、軽やかでちょっと色っぽくて、確かに女神っぽく。

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