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2014.09.02

【芝居】「私の嫌いな女の名前、全部貴方に教えてあげる。」月刊「根本宗子」

2014.8.24 14:30 [CoRich]

31日までテアトルBONBON。前売りは全ステージ完売で、当日券は用意されていたようです。

西麻布の店、深夜。キャバ嬢が飲み会をしている。好意を持ってる男がセッティングした飲み会のゲストの男はたった一人だったが、メジャーデビューを間近に控えたアイドルバンドのボーカルだった。積極的に知り合いになりたいと色目を使う女、飲み会にそもそも誘われてないのに来てる女、好意を持ってきてる男を使うだけ使ってるのに恋人と公表するのは恥ずかしい女、いつもちょっと距離を置いてすましてる女、あんまり酒も強くないけれど男受けのいい女たち。
カラオケでかなり盛り上がったところで乱入してきたファンの女に腹を立てて化粧室に籠もった男だったが、そのあと化粧室に入ってきた女と寄った勢いで口説いて、キスをしてしまう。
店員はその男の恋人と友達で、その様子を電話してしまって3ヶ月。恋人は男を許すことができずにずっと責めつづけている。キスだけではなかったことを知り、喧嘩はさらにエスカレートして。

梨木・根本は役名と役者名がそのままに、しかも小劇場の女優と劇作家という肩書きだったり、NHKへのあれこれという現実にリンクするような話題もからんでいて(終幕近く、互いに電話しようか逡巡するシーンが好きです)。当日パンフや有料パンフを眺めると本当に何かあったんではないだろうか、と思わせるに十分なあれこれ。他の役名ももしかしてあの人?、という感じすらして観客の妄想だって膨らんでしまいます。自分の恋愛事情、失恋などを題材にして切り売りするというのは数あれど、ここまであからさまにというのは珍しい。

女の子女の子している彼氏の浮気相手の女に対しても、あっさり寝てしまう彼氏に対しても作家は腹を立てているけれど、その他の女たち、たとえば友達が出来ないのを恐れ空気読めない風を装ってウザがられる女にしても、距離感掴めずに近づいてきて自分こそが支えているんだと信じて疑わないファンの女にしても、彼氏あしらいが少々ひどい女にしても、あるいは仕切りたがりだったり、距離を置いてる風だったりと、まあ気にくわないキャラクタのオンパレード。まさか舞台の終幕のような惨殺を実際にするわけではないけれど、作家が実は心の中ではやってそうだというのも、まあ一種の自分の切り売りといえるかもしれません。

女たちの立ち位置が織りなすあれこれという前半の部分は、単に後半の物語のための布石にとどまらず見応えがあります。それぞれの人物の描き込み方の深さに少々差があるのは気になりますが、誘われていないのに空気読めないフリしてともかく参加してこようとする「キティ婆」(墨井鯨子)はともかくインパクトがありますが、それは空気が読めないのでは無くて、嫌われ避けられていることは自覚しつつ友達を作れないという事への強い恐怖からともかく誰かと繋がっているためにそうしているのだ、というあたりの作り方はちょっといい。ファンなんだけどちょっと距離感がおかしいとか、同じ呑み会で話しかけたいのにそれが叶わないなど、「嫌いな女の名前全部」といってるわりにはその背景が見えるようなどこか優しい視点もあったりします。まあ、それは現実のモデルのキャラクタというよりは、作家が自覚してる自分のちょっとかわいそうな感じを裏打ちして女たちのキャラクタに深みを持たせていると云うことかもしれません。

浮気されている事も悲しいけれど、それを3ヶ月も責め立て続けるということのある種の異常さだって作家の自覚かも知れません。ただ、その結果とはいえ、「そんな汚い言葉で怒鳴る男だなんてこと知らなかったし知りたくなかった、浮気されたことよりも それが悲しい」というのもまた作家の偽らざる気持ち、という気はします。 まるで何か現実にあったことを作家が書いているという前提でこの文章を書きつつ、これそのものが現実にあった話しかどうかなんてことは知る由も無く、これぜんぶ作家の妄想ということだってありうるので、まったくもってこの作家、油断できないわけですが、 これが全部嘘だったとしても、ホントだったとしても、やりたい放題やってる感がドスンと効いていて、なんか腹が据わってるなぁというのは、この作品の魅力なのです。

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