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2014.09.02

【芝居】「台所の女たちへ」青年座

2014.8.23 16:00 [CoRich]

ONEOR8の田村孝裕の作演による新作。青年座の役者による三連続企画公演の最後を飾る120分。31日まで青年座劇場。 大きな会社の三代目だった男の通夜振舞いの台所。喪主である妻のほか、三人の妹たちとその娘たち、最期まで面倒をみたヘルパーなど女たちが出入りしている。 しっかり者の長女、 おっとりしている次女、ちょっとがさつな感じでもある三女たちそれぞれの娘もいい歳になっている。離婚、浮気、近づく介護、不倫の末の妊娠。
40年前の先代の葬式のとき、同じ台所。喪主の三代目と妹たちはまだ若い。世襲の跡取りができず、先代は三代目に別の女と関係を持たせていたが、先代が亡くなりその女が乗り込んでくる。

通夜振舞いの台所に集う女たち、2014年と1974年という二つの時代を行き来しながら女たちの成長と加齢をベースに、 元家政婦の長兄の嫁、夫に居る女のことを知っていても受け入れるしかなかったあの時代から、生き抜いて笑いあえる女たちの力強さを軸に描きます。 2014年は母と娘たちで、1974年はその娘を演じた役者たちが母の若い頃を演じるというギミックが面白い。若さそのものだってもちろん一つの価値なので、 それは時の流れの残酷さといえばそうだけれど、単に加齢のもの悲しさというわけではありません。 いつまで経ってもトイレを巡り小競り合いする姉妹たち、あるいは母に厳しく当たる娘など、それぞれの人生で変わること、変わらないことを重ね合わせて。それでもガハハと笑える女たちをみるとこちらも元気になるような圧倒的な力を持ちます。

40年の時代を経た女たちの両方を劇団メンバーだけでまかなえるのは青年座の役者やスタッフの厚み。新劇の劇団とはいえ、さまざまなチャレンジを続け来た劇団ではあって、そこにあえて若い作家で新劇っぽいものをというのもまた面白い感じ。なにより安定していて、おそらくは観客の間口も広くて、年齢を重ねた女性こそ。映像でも面白そうな感じはするけれど、役者が二つの役というギミックの面白さは舞台だからこそだよなぁとも思うのです。たったひとりの男の甲斐性の無さも、今っぽい感じではあって、今作においてはうまく効いています。

唯一の男を演じた山崎秀樹のトホホな感じが楽しく。母に強くあたる娘を演じた小林さやか、若い時のおっとりした感じとの振り幅。かつて乗り込んできた女を演じたひがし由貴のつんとした感じ、ガハハキャラを演じつつも可愛らしさの残る尾身美詞の声が印象的。

物語と直接関係はないのだけれど、幕開け、両側の袖幕から女優たちが揃って出てくるシーンがとても格好良くてなぜか西部劇すら思い出します。それだけの年月を重ねてきた女たちを、格好良く見せる、というのはタイトルにあえて「女たち【へ】」としたのは、女たちへ贈る何かという 作演の視線なのだな、と思ったりもします。

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