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2014.08.01

【芝居】「水底の静観者」猫の会

2014.7.25 19:30 [CoRich]

2011年初演作を大胆に演出を変更して上演。27日までひつじ座。

街をめぐる再開発を背景にもちつつ、この旅館の客だった高名な作家の孫というだけで十分なプレッシャーなのに弟は新人として注目されているという進路も退路もふさがれた男がついついアルコールに 依存、という物語。

ビールを砂で表現してみたり(アルコール依存する人間の方を砂に喩えることが世間では多いようですが)、物語から離れた体裁で役者を楽屋落ちのように喋らせてみたり、没原稿に見立てた丸めた紙の中から 登場人物を出してきたり、唐突にキノコの被り物をしたりと、これでもかというさまざまな手法のオンパレード。さらには、 「ここは重要なシーンだけどカットするから要点だけかいつまんで説明する」とか、元々の物語から演出家が重要だと思うところを摘まんで、強調してならべ、演出のショーケース のよう。じっさいのところ、 演出家が何かをしたように見せたかったということ以上には意味があまり感じられず、物語に向き合って選んだ手法とは思えなくて演出が物語をまったく支えていないことに戸惑います。 物語に対する敬意が感じられないというか。

もちろん、古典と呼ばれる領域の誰でも知ってることを前提に演出や解釈のバリエーションを行うということはありでしょう。あるいはその一粒のエッセンスから、物語に隠れていた何かをあぶり出してみせるという豪腕の演出というやりかたもあるでしょう。今作に関しては、正直古典といえるほどメジャーな芝居ではないし、ひっくり返したおもちゃ箱以上の強いメッセージがあるようにも思えません。

何より腹立たしいのは、この物語をどう解釈すべきかということを演出家が出しゃばっているようにしか感じられないことで、それは難しい物語を子供向けに咀嚼して与えるというのと同じことで、観客も作家も信頼していない、ということだと思うのです。

初演を観ていて、記憶力ないとはいえある程度の物語のベースや、あるいは作家の語り口になれているから、バリエーションのひとつという楽しみ方はあるかもしれません。が、物語のテキストこそ多くを使っているけれど、演出の多くが物語を支えるように働いていない以上、それはノイズでしかなくて、たとえばこの物語に初めてふれる観客に対して、演出家はどう責任をとるか、という覚悟があるように思えないのです。

役者陣はこの無茶に対してもそれでもなんとか形にしようと誠意を持って踏みとどまろうとしている感じではあります。が、ここまでやられてしまっては、ねぇ。

2011.1
猫の会その4 水底の静観者
下北沢「劇」小劇場
2014.7
猫の会番外公演 猫のサロン〜家族のはなし
ひつじ座
[演出] 澤唯 田中圭介
稔(みのる・長女) 川崎桜 佐藤祐香
円(まどか・長男) 佐藤達 島守杏介
護(まもる・三男) 小川拓哉 芝原弘
千夏(護の同級生) 浅野千鶴 長野海
香織(護の同級生) 野村沙月 大竹沙絵子
積木(編集者) 力武修一 金川周平
正宗(本屋) 中村純壱郎
慶子(正宗の妻) 徳元直子
宮下(円の後輩) 目黒大輔

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