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2014.07.15

【芝居】「愛ヲ避ケル」桃尻犬

2014.7.12 19:30  [CoRich]

13日まで王子小劇場、105分。

「愛のあるセックス」だけで感染する「ギュウタン病」は、すべてを楽観的にとらえるようになる。その患者が作るということで高額に売れる段ボールを作る会社は彼によって支えられていて彼が出勤してこなければほかの従業員はすることがない。その彼と同じ病気を抱える女も出入りするようになる。ある日、患者を雇って酷い扱いをしていると目を付けた人権団体らしい男がやってきて、二人の患者を保護して連れ帰ろうとする。

小さな工場というコミュニティの中、差別されがちな病気にかかっているけれど(対比して、背景を知らずに無自覚に在日という単語を出した男が反省するという序盤のシーンが効いている)それで工場を回せるようになっているという場所。

ハンディキャップを埋めるためのさまざまな施策、最近だと女性のという流れにもなっているけれど、その段ボールがなぜ八千円という高額で売れるかということは、ロゴの入ったマーキングが鍵なんだろうと想像しますが、もう一押し説得力がほしいところ。それでモノを送ると社会的地位が高いと錯覚する、とか、あるいは人権団体らしい男がそこに何か反応(これはすごいとか、逆に世間で良く思われてるこれをこんな劣悪な場所でとか)をするとか。現実の社会に対して作家が何か違和感を感じたからこそ作り上げた設定なのだから、現実味を帯びさせるという一押しが効きそうに思います。あと、普通は段ボール工場から出荷する前に段ボール組み立てて置いたりしない(かさばるし)とか、まあ細かいところが気になったりも。

従業員の一人の母親という人物の登場は唐突ですが、おもしろい。ごくごく普通に息子を愛する母親というだけのことなのだけれど、行動の規範というか原理の軸が違うという意味でアタマがおかしいように見えてしまうというのはやけに説得力があります。役名も「お母さん」という一般名詞でしかないというのも思い切りが良くていい。演じた、踊り子あり(という役者)は若く綺麗な役者だと思うけれど、ちょっと派手目のダサ気な服でがさつに演じて、愛すべきオバサンを出現させます。

解放に向かうかに見えた物語は終幕で閉息する家族という体裁のラストに着地します。一人敵だったはずの人権団体の男が、白濁した粘り気のある液体を浴びてこの「家族」に取り込まれるような体裁。正直に言えば、「愛のあるセックス」でしか伝染らないはずの病気が、これだけだったり、あるいはワカメを食べさせるというだけで伝染ってしまう、というのは序盤の説明と違ってるので戸惑う感じではあります。

病気にかかっている男を演じた糸山和則は高いテンションを維持しつつ、単にかわいそうな人にしないという説得力。同じ病気にかかった女を演じた長井短は外人っぽい顔立ちを生かしたエセ外人キャラのシーンも楽しいけれど、自分が魔法少女であると信じて疑わないイノセントさも捨てがたい。

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