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2014.07.27

【芝居】「レイモンドの夢みる機械」演劇裁縫室ミシン

2014.7.20 13:30 [CoRich]

茅野での公演に続き、20日まで松本・ピカデリーホールというミニツアーになっています。115分。

13世紀のイベリア半島。先進していたイスラム教の土地に台頭してきたキリスト教とが衝突している。仕えていた王のチェスが強い妾との失恋をきっかけに、意味は記号で表される、「言葉を紡ぐ機械」を作ることに没頭する男。資金を得るために布教の役にたつといい、命を助けた少年を従者にしてヨーロッパから果てはアフリカまで旅をする。男に一方的な憧れをいだきつつも、男の作る機械が神の存在を否定するものになることをおそれる大司教、強大な力を利用し、異教徒に打ち勝ち、異教徒を奴隷として、利益を企む商人たち。

ナンセンス評伝劇、と銘打ちつつ、ことさらに笑いを取りに行くようなコミカルさは薄めで、きっちりと人物を描きつつ、しかし軽やかに物語を運ぶのです。今まで観てきたものの、装置はごくシンプルに見えて、廻り舞台に二階層の構造で走り回っても大丈夫なぐらいにきっちり作られていて、ピカデリーホールの広くタッパのある舞台をきっちり埋めています。

正直に云えば、世界史がまったくダメだったアタシ、イスラムvsキリスト、みたいなその時代の背景の知識が足りないままに観ちゃったからか、背景となる時代の真実と、創作で作られた部分がないまぜに取り込まれてきて、少々混乱する感じ。むしろ、ちょっと挟まれるさまざまな小ネタの方に楽しくなっちゃうアタシです。二進法を確立したラインプニッツを01の羅列から水玉→草間彌生とやってみたり、情報工学の人物、チューリング、ノイマン、シャノンになぜかジョブズだったり。あるいは機械を水に沈めて泡が出るから未だ隙間がある(というのはジョブズというよりウォークマンの盛田昭夫語録じゃ無いかと思うけれど)まあいろいろ楽しく見てしまうのです。

かつて愛した女への想いから、 「記号が重なり合って意味を持ち、それは機械にすることが出来る」と発想し、金を出すもの利用しようとするもの、あるいは人を信じるものたちさまざまなな人々の間で翻弄され、奇人扱いされてもその道を真っ直ぐ進む、というのをまるっきりの創作で作り出しちゃうのが面白い。従順な、しかし適切にツッコミを入れる利発な従者を従えて布教の旅というのもやけに説得力というか人物の厚みが増えるようで楽しい。

奇妙な機械をつくることに魅せられた男を演じた大久保学、不思議と真っ直ぐな感じが巧い造型。従者の少年を演じた清水奎花は、ともかくパワフルに走り回り、時に情けなく、しかし終幕近くで悲劇でもあってきっちりと振り幅。かつて男が惚れた女を演じた宮下治美は、露出というのとは違うけれどしっかり大人の色っぽさと、老魔女役との振れ幅も楽しい。篠原鈴香は商売女という手練れと少年を食ってしまうような強気の色気も楽しいし、人に優しくされることを素直に嬉しく思う気持ちの細やかさ。大司教を演じた米山亘はどこか木訥で真っ直ぐという人物の造型。商人を演じた有賀慎之助はきっちりヒールを、チンピラ風味の味付けに。若い日の男を演じた滝沢秀宜は若いのにどこか飄々とした感じが不思議とこの男は若い頃からこうだったんじゃないかと思わせる雰囲気を纏います。

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