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2013.10.20

【芝居】「6畳間ソーキュート社会」快快

2013.10.19 15:00 [CoRich]

新体制となった快快(faifai)の新作。役者二人+一人の構成でインスタレーション的な感じも強い65分。トーキョーワンダーサイト渋谷。20日まで。

iPhoneひとつで何でもできちゃう生活。ひとたび忘れれば待ち合わせの場所もわからなければ連絡も取れなくなっちゃうぐらいに生活に食い込んでいて。男と女は恋人で、家を行き来している。一人の時は婚活サイト眺めていたりする女だし、男だって神経質に部屋中の線量を計っていたりする。ある日、女は自分の妊娠を告げる。21世紀は思ったようにならなかったかもしれないけれど、未来に向けて確実に時間は流れていて、産まれてくる子供はその時間を生きていくことになって。

キャンセルが出てると聞いてのこのこ出かけていきました。ずいぶん久しぶりに、と思ったけどこのまえが以前からの快快の最終公演で、これが新生快快の一回目。間にはいくつか公演があったようですが、それは見ていません。客席は果たしてほぼ満員。空堀のように舞台が一番低くて、六畳間にベッドと机と椅子。客席はその外側に囲んで見下ろすように二列。開場中はベッドにiPhoneの画面が移されていて、役者が操作するテイで腕を動かすと画面が反応したりして。

開演もその連続になっていて、iPhoneを私たちが持つようになって生活から切り離せなくなってる、とか、5sはセンサーが強化されたので男女を見分ける(向けてボタンを押すと、男ならチン、女ならマン、と声がする、という下世話が楽しい)アプリがあるとか、忘れて出てしまうと場所がわからないどころか(電話番号なんて覚えてないから)連絡も取れない)とか。それぞれの部屋に住んでいる男女、iPhone使ってサイト検索したりSiri(音声認識エージェント)で会話したり、あるいは神経質に線量を測ったりと、それぞれの生活。

女が妊娠を告げてからは二人は同じ空間、21世紀になったけれど、iPhone以外の(クルマが空を飛んでたり、キノコ型のビルがあったりという)未来はそうでもなくて。だけれど、二人の間に育まれつつある命は自分たちよりも先の未来を(その子孫はさらなる未来を)生きるのだ、という気持ちがあふれ出す瞬間。物語というか「想い」を具現化して見せるのです。終盤は女の腹にマジックで笑顔、男は尻を出してぐるぐると踊っていて、二人で空間に浮かんでいるよう。終幕はその男女が客席の高さに上がってきて、あなた、わたし、わたしたち、と気持ちに定着させるかのような着地点。シャイな観客に対して歩み寄ろう、という気持ちかな、と思います。

やけに身近な六畳間あるいは自分たちが生きてきたここまでからの進化は、ブーブークッションが息を吹き込まなくても内蔵されたスポンジが勝手に膨らませる(なるほど!)というほどの僅かな進化だけれど、子供にある未来はもっと先まで行きそうだ、と想像して楽しくなる感じがこの人々の楽しさを感じるのです。 未来のさまざまを絶望ではなく描く若い劇団はこのご時世、そう多くはありません。皮肉でも裏返しでもなく、未来の可能性を信じる(あるいは信じたいと願う)というパフォーマンスをみるとちょっとウキウキしてしまう気持ち、アタシにだってあるのだな、というのが新しい発見。

わら半紙風に挟み込まれた「faifai ZINE」は老眼にはそろそろキツイ小さい字でびっしりの、スタッフキャストへのインタビュー集。見知った人々はずいぶん去ってしまったあとの新しい体制はどうか、というアタシの気持ちに寄り添います。こういう文章をちゃんと書けて構成できる方法を持っているというのはずいぶん凄いことだと思うのです。

faifai ZINEではずいぶんネガティブに喋っている山崎皓司は、馬鹿馬鹿しい日常の若者、子供ができて素直に嬉しい「まっすぐ系男子」をきっちりと。大技は使わないけれど、積み重ねた気持ちがきちんと。女を演じた野上絹代は三歳児の母親でもあって、妊娠とか、未来が見えそうな気持ちという説得力。ものすごく可愛らしく見える瞬間がいくつもあって、再発見するのです(ずいぶん失礼な物言いだけれど)ギーク風を演じた加藤和也は、そういう造型で開場時間をしっかりと繋いでいます。

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