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2013.09.22

【芝居】「マチワビ」キリンバズウカ

2013.9.21 14:00 [CoRich]

キリンバズウカ、2年ぶりの新作。25日まで東京芸術劇場シアターイーストで25日まで。105分。

東京から2時間ほどの地方都市。三人の姉妹が住んでいる。父親がオンナを作り家を出て母親が亡くなったあと、長女は親代わりとなり、次女は予知夢を操る美少女としてタレントとして人気を博していた。三女はそんな姉を見てテレビに出ることをずっとあこがれている。数年が経ち、世間から飽きられてきた次女は実家に戻るが、地元ではやはり有名人で、ほとんど家に引きこもっている。
そんな次女にずっと想いを寄せている幼なじみの男はずっと告白できなかったが、パン屋での修行もすすみ、ある程度稼げるようになったため、いよいよ告白しようと姉妹の家を訪れる。ほどなくして次女が帰宅するが、近所の潰れた遊園地で出会い、財布を無くしたという若い男を連れていた。前後して、次女が久しぶりに見た、バイパス沿いに大金が落ちているという予知夢どおりの場所で一千万円の現金が発見される。

中央に回る舞台で一部屋と風景、上手奥に別の一室という具合に舞台を小分けにしていくつかの場所を作って舞台を構成。

三人姉妹の次女を軸にして、長女の三人を想う気持ち、次女がタレントとして上京し出戻った感じ、三女の東京や芸能界にあこがれる気持ち。長女を想う人、次女を想う人。三女がこじらせるほどに募らせる想いだけれど。東京からやってきた男は目的が不明なまま、しかし次女はずっとここに引き留めようとするあたりは物語としてちょっとワクワクします。 ネタバレかも。

思い続けるて勇気づけたいと想う気持ちが、予知夢の復活に暴走する感覚が恋心っぽくて微笑ましく楽しい。芸能界へあこがれるあまり次女の持つ予知夢がうらやましくて仕方がない三女もまた能力があるような終盤の描き方は、突然姿を消した次女の元マネージャや父親に起きたことをなぞめいて描いていて、これもちょっと面白い。

父親の暴力が次女に深く刻んだ傷は、マネージャがまた繰り返す感じだったり、よく考えたら父親の暴力の原因だって三姉妹がこうだったからじゃないかと思ったり。そういう意味では「そういう人だった」という巡り合わせの悪さゆえの一種の悲劇ともいえるわけで、そのリンクは、根深さを感じるのです。

幼い頃の次女と三女を年齢なりの等身大の人形を操る形で表現するのもちょっと面白い。幼さがより強調される感じだし、大人がそのまま子供を演じるよりはずっと「そういう感じ」に見えるのがいいのです。あるいはDJの夫婦、不満があるならいってほしい気持ち、不満をなぜかDJのまねごと風にというのも、飛道具っぽいのにちょと泣ける感じ。

長女を演じた黒岩三佳、責任感いっぱいの長女な造型がかっこいい。メインとなる次女を演じた加藤理恵、しっかりと物語の芯に。三女を演じた松永渚は幼さが勝る20歳という設定もいいし、子供の頃の声はインパクトがあります。想い続けている男を演じた上鶴徹は、そこから思いあまって、というのがちょっといい。ミニFMのDJを演じたこいけけいこは、ある種の第三者感、長女との同級生という設定が物語の奥行きを増すのです。パン屋の先輩を演じた後藤剛範はやさしさととぼけた味わいが徐々に出てきて実にいいのです。財布を落としたという男を演じた永島敬三はこういう状態なのにフラットで居続けるという造型。森下亮は静かに狂いそうになる感じのバランスの絶妙。DJじゃなかったのか、というのも楽しい。

正直に言えば、14人の座組に対して、物語に必然もなく場面も少ない役が複数あるのはとても気になります。古典や商業演劇、あるいは劇団員という理由ならばともかく。まだアタシはキリンバズウカが小劇場の芝居だと信じていますし大人の事情もあるでしょうが、作家がこれでいいと考えてしまっているのならば、残念でなりません。

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