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2013.07.24

【芝居】「空中キャバレー2013」まつもと市民芸術館

2013.7.19 19:00 [CoRich]

2011年に初演されて東京からの観客も来るほど大好評を博したボードヴィル仕立ての170分(休憩20分込み)。平日を含む約2週末の公演が嬉しく28日までまつもと市民芸術館。
開場時間や休憩中にはマルシェと名付けられた市場風で、鳴り物やグッズ、飲食物の販売を。今回は買った飲食物を飲み食いしながら見ることができるようになりました。週末は前売り完売のようですが、実は座席ではない床に座り込んで観られるので、それなりに当日券は出るのだろうと思います。

サーカスの空中ブランコ乗りの少女に恋をした軍人の男、その気持ち、彼女と同じ高みに昇りたいと思って。あるいは流しで思い出を売るサクソホン吹きの男、戦争の直後で混乱した町、孤児の花売り娘だったり、自分を不幸と呪う女だったり、遠く郷里に残してきた恋人を思う軍人だったり、ルンペンだったり、地元の顔役の親分だったり。ある者は灰色の壁に向かって人々は会ってない人への想い、ある者は今日を楽しみ。

客席は用意されていますが、平らなところをあちこち誘導されながら座り込んで観るのが実に楽しい。客席側が一応正面ではあるので、初めてならばそちらをねらいたいところですが、裏側にあたる方から観たって、結局見上げてる場面も多いので、実はたいした問題ではありません。

ふたつの幹となる物語を二幕に、その中にサーカスという体裁の大道芸のプロフェッショナルたち。タップダンスやフラフープ、ディアボロといったジャグリング風味から、空中ブランコや空中からのリボンをするすると昇るようなマッスルミュージカルとかサーカス風味までそれだけでも見応えなさまざまな出し物。開場中や休憩時間のマルシェだけではなくて、その市場の中でボードヴィル風の出し物をあちこちで見せるというのも気が利いています。

ブランコ乗りと兵士の物語、男が独白のように少女への想いを綴る詩といった体裁。物語としてどうというわけじゃないのだけれど、想いとブランコが揺れるリズムがずっと同じテンポで続く感じで楽しく。

休憩時間、入り口近く(劇場正面を使わず、搬入口を入り口としています)での小さな軽演劇。月に抱かれた王女のコンパクトな物語は、賑やかで、ちょっと色っぽくて、ばかばかしくて楽しい。小さな舞台でどたばたと入れ替わる風なのもいいのです。

サクソフォン吹きと街の人々の話。時に哀しく時に自由な人々、会えない人への想い、雑踏らしいばしょに行き交う人々に起こる奇跡。たしかにヴォードビルな感じだし、素敵な感じ。

片岡正二郎はまつもと市民芸術館の出し物に本当に欠かせない俳優になりつつあって、軽演劇のような軽さとペーソスが隠れてそうな雰囲気が実によくて、しかも観客をどうにでもできそうな確かなちから。内田紳一郎との道化っぽい役割も実に楽しい。秋本奈緒美演じる場末の女もいい感じ、石丸幹二という役者をナマで拝見するのは初めてだけど、ミュージカルの歌の力強さ、若いサクソフォン吹きというのもよくあっているのです。串田和美は楽しげににこにこと、しかし場所をきちんと作るちから。近藤隼はTCアルプ(劇場のレジデントカンパニー)の中では筆頭の役者で、出ているだけでも安心感。佐藤友の花売り娘、可愛らしく、おしゃまな感じも楽しい。サーカスアーティストではサーカス部分の監修を兼ねるジュロのフラフープ・ラ、12mの高さで演じるフラフープ、圧巻で凄い。

初日の直前の日曜日、三連休の中日となった11日には松本駅から松本城に至る市街地のあちこちで大道芸を見せるという「まつもと街なか大道芸」という催しも。出演者だけではなくて、踊りや歌、といったさまざまな人々の大道芸を同時多発で見られるという楽しくのんびりしたいちにち。公演につながることだけでこういう催しができるというのは観光都市でコンパクトな松本市の特性にあっていて、東京から何人もこれを目当てに訪れたりしていて、サイトウキネンフェスティバルともクラフトフェア、あるいはヒルクライムレースとも違う新たな観光の萌芽になりつつあるな、と感じさせるのがちょっと嬉しいと思ったりするのです。その週末、東京に行くかが悩ましいところですが。

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