« 【芝居】「フェアリーノーツ」smokers | トップページ | 【芝居】「劇作家女子会!」劇作家女子会×時間堂 »

2013.06.16

【芝居】「バイト」カスガイ

2013.6.14 15:00 [CoRich]

ガスガイとしては4年ぶり(1)。115分。23日までテアトルBONBON。

製紙工場のアルバイトたちはほぼ前科がある。就業時間後、滅多に入れない会議室に集められる。現れた社長は、寮で死体で発見された女を、殺した犯人をこの中からでっち上げて自殺する一人を選べ、と命じる。

物語の前半2/3を占めるのは、前科者がほとんどのバイトの人々と、死んだ女を巡る人々の想い。フォーマットとしての原型は一人を選び出すという点で「召命」や「俺の屍を越えて行け (1, 2, 3)」、 「月並みな話 (1, 2」 を思い起こさせますが、どうにも座りがわるい感じは残ります。そもそも人間扱いしてないのだから、どんな方法でもいいから一人を選べというのは社長の側のロジックとしてはそうなんだろうけれど、自分から進んで名乗りださせるためのロジックというかインセンティブというか(死んでしまうのだから金というわけにもいかないので、難しいというのは理解できるものの)が不足していて、一人を選び出す(観客と物語として共有できる)軸が明示されないからなのですが。これだとほぼくじ引きと変わらなくなってしまうので、物語の推進力として弱い感じになってしまうのです。

社長がどうしてここまで前科者たちとはいえ、従業員というかバイトたちを貶めるほどの独裁者になってしまったのかが今ひとつわからないのです。

ネタバレかも。

そこまで作り出したバイトたちの物語は終盤に至りあっさりうっちゃられて、社長と幼なじみ、という二人の物語になります。前半のあれこれは、社長の人間性の無さとか、手首を切り落とすとう残忍さという点でつながりをつくりつつも、正直に云えば、軸となる物語が唐突に切り替わるようで少々戸惑うのです。

別の回を見た友人の言によれば、座る位置などを毎回変えているようです。それに応える役者の力量を全員が持っているというのは実に贅沢な座組です。 役者陣の充実が本公演の魅力。不条理というよりは抑圧という言葉が似合いそうな物語の中で、それは前提として、生きる人々というリアリティは役者の力あってこそ。にしては、メインの二人以外の人物の数が物語の力に対して多すぎる感じがあるのは惜しい。
川村紗也は怒る感じ、泣く感じのダイナミックレンジ。 須貝英は気真面目な童貞(失礼)感。 田中沙織は目力の強さ。 村上誠基は切迫の中からでも、軽くいなそうと努力する人物の造型。 浅野千鶴はこの座組においても圧巻の声のちから。 岡田あがさは、どうしてこういう役の造型になったかは知る由もないけれど、伏し目がちな感じのあたらしい魅力。 荻野友里は、(見た目の)神々しさゆえに宗教にはまりこんでる感じ。 片桐はづきはここで暮らしている感、あるいは事情通な造型(だけどほとんどアタシからは背中しか見えない席だったのがアタシが残念)。 山田百次は腕力で人を、ということに対して説得力のある力強さ。そうするしかなかったんだろうな、と思わせる人情な雰囲気。 山崎彬はワタシの観た席では背面からで、せりふが少ないだけに心の動きが見えないのが惜しい。 玉置玲央は、この中でヒールを一心に背負い続けるタフさは彼にしかできないちから。ですが、正直にいえば、演出の立場でこれだけ出演してしまうと、座組に対してのバランスが少々難しくなるんだよな、とも思うのです。

|

« 【芝居】「フェアリーノーツ」smokers | トップページ | 【芝居】「劇作家女子会!」劇作家女子会×時間堂 »

「演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【芝居】「バイト」カスガイ:

« 【芝居】「フェアリーノーツ」smokers | トップページ | 【芝居】「劇作家女子会!」劇作家女子会×時間堂 »