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2012.10.08

【芝居】「いつも心だけが追いつかない」MU

2012.10.6 14:00 [CoRich]

ハセガワアユムの歪んでしかしコミカルがきっちり楽しい学園もの70分。8日までTheater&Company COREDO。

高校。教師は生徒からの相談を受けるときにカードに互いの署名をして秘密を守ることを明確にする、というルール。女子生徒が美術教師に相談を持ちかける。つきあっているとされるスポーツ特待生の彼は幼なじみでもあって盛り上がっているけれど、どうにも恋人という感じではないし、深入りしたくもないとも思っていて、美術教師の描く絵のモデルになった教師に相談をもちかけている。
校内の相談事は、盗難に関するものが多く、その女子生徒の体育着もなくなり、彼氏は教師まで駆り出して徹底的に校内を探させる。体育着はみつからないが。

静かな会話ではあるけれど、作家自らが言うとおり「壊れた」人々。とはいいながら、普通の人々が片鱗は持っているだろう感覚がきちんとちりばめられているという意味で、破壊力という点では薄いということもできましょうが、地に足がついた人物の造型を感じさせるのです。恋人として盛り上がるスポーツ特待生は「したい」気持ちと意味があるのかないのかわからないハードルをクリアしたらと言い寄る(どこかゲーム的な童貞男子的満載な)気持ち。恋人ということになっているし、いい人だけれど、これは恋人じゃないよなと思う女の気持ち。それなのに彼のことが好きかもしれないというのも、ティーン的な不安定さがみえるよう。 あるいは美術教師で口に糊しているけれど、個展という個人活動にかまけるどころか、妻との距離、ましてや女装癖。

生徒からの相談を受けるときのカードというアイディアが創作によるものなのか現実からのインスパイアかはわからないけれど、劇中のせりふにもあるとおりに、秘密を守ることの証拠でもあるし、ある種生徒たちからの人気を可視化するという側面が出てくるというのは、人数の少ない座組でちゃんと学校という人数の場所を感じさせると同時に、短編でその生徒たちと教師たちの位置がみえるようだったりと、秀逸なアイディア。

ありそうな感じという意味では、 物語はとことんフィクションだし、登場人物は壊れているしと、とことん「つくりもの」感がめいっぱいなのに、カードのシステムにかまけて「上っ面の相談」ということが起こりやすそうだとか、まじめに探してみれば実はいじめや問題が山積していたり、それを隠したいと思ってしまったりと細部がやけにリアルな感じのバランスが気持ちいい。

女子生徒を演じた小園茉奈、魅力的な色っぽさと幼さを感じさせていい雰囲気。美術教師を演じた村上航の生真面目さの奥の焦燥する狂気感も面白い。MU常連になりつつある杉木隆幸、古市海見子が脇を固めて「常識的な」視座を置いてくれるのも見やすい感じ。

すべての観客に対して当日パンフには電子書籍版の戯曲のアドレスとパスワード、期間限定でダウンロードして、ちゃんとフォーマットされたpdfの戯曲が読めるというのはうれしい感じ。(スマホでzipって普通の人見られるのかしら、とは思いつつ。)これが音声コンテンツだったら、個人的には言うことないよなぁと思ったりもしますが、まあ、そこまでやったらやりすぎという気がしないでもありません。

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