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2008.03.15

速報→「メリーさんの柩」横浜未来演劇人シアター

2008.3.14 19:30

横浜での舞台芸術家の育成を目指す未来演劇人シアターの新作。佃典彦の書き下ろし約120分。20日まで相鉄本多劇場。

出会い系サイトで知り合った女と待ち合わせた町、日ノ崎町。戦後すぐのような賑わいを見せる根岸屋で夢のような一夜を過ごしてから一ヶ月。不眠症になり、右目が見えなくなり、眼科に赴く。

横浜伝説の街娼、メリーをテーマにしたシリーズの最終章なのだといいます。アタシは最後にしてなんとか観ることが出来ました。いわゆる風俗街の一軒の店を舞台に、戦後すぐと2008年の現在を自在に行き来する企みは、エンゲキらしさに溢れていて引き込まれるのです。

ちょっとしたSFチックな「メカメラ」なるものを持ち出す前半で一気にこの虚構の世界に持ち込んでくれる気持ちよさ。それに続く戦後すぐ賑やかなりしころの根岸屋の風景、現在の同じ場所でのいわゆる環境浄化活動の市民団体。人は入れ替わっても、その街に住んでいる人々の風景。 時間も場所も鮮やかに入れ替わっていく手法はことさら新しい物ではないけれど物語の力強さとあいまって引っ張り続けてくれるチカラがあります。

ダンスホールに生演奏のバンドが入っているのだけど、正直なはなし初日時点ではバンドの音量と役者の声量のバランスに欠ける感は否めません。どうしてもがなり立てる感じになってしまう役者も居て。役者の力量やアタシから観た相対的な立ち位置によっては何の問題もないのだけど、やはり台詞聞こえてナンボ、ということはあるのでこれはちょっと残念な感じも。

メリーとの繋がりに迫る後半は、前半の猥雑さには少々欠けるし物語の着地点が見えないまま進む感じがしてアタシは戸惑いながら観てる感じがあります。真ん中へんにあるダンスの凄さにやられてしまって、そのあとのリズムの変化についていくのに少々手間取っている、ということかもしれません。

横浜の芝居らしさも、てんこ盛り。名前は変えてあるけど、猥雑さとある種の古さが今でも残る街を舞台にして、米軍相手の戦後から市民運動の現在という自在さ。登場人物たちの名前も横浜近辺の地名からとっていたりしてそれにほくそ笑むのも楽しい。

もっとも、この街の賑わいが鳴りをひそめてしまった「浄化活動」ってのは劇中少々戯画的に描かれている市民運動の結果というばかりではありません。横浜開港150周年(来年だ)へ向けての行政の結果という側面があることは横浜に長く住んでいれば誰でも知っていることで、同じ150周年事業の一環という側面を持つ演劇人シアターがこの街をある種のノスタルジーで描くのはちょっとほろ苦い感じもするのです。

初日に関して言うと、舞台中央客席通路に設置された灯体に観客がつまづいてしまうというトラブルで開演押し。観客全員から見える中で機材を切り替える羽目になって、その深刻さは素人のアタシにも想像がつくのだけど、あの時間の中でなんとか幕を上げて、しかも芝居を観ていて違和感を感じさせないのは、たいしたものだと思うのです。

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