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2007.12.09

速報→「監視カメラが忘れたアリア」虚構の劇団

2007.12.8 18:00

鴻上尚史が新しい出会いを求めて劇団を立ち上げる、という旗揚げ準備の公演。彼の考え方や言葉に久し振りに触れられる110分。手書きコピーの「ごあいさつ」もちゃんと配られます。9日までザ・ポケット。

おおきく三つの場所の話がやがて。
警官の男の仕事は町中に張り巡らされた監視(防犯)カメラ映像の監視、男は婚約者の姿を見つける。が、妻はそのことを話さない。
大学のサークル広場、大学によって取り付けられた監視カメラに反対して「監視カメラを監視する会」なるサークルを立ち上げてから8年目、カメラに見つからないで行く経路を示すすり抜けマップをつくり。
中学校の教室に監視カメラが取り付けられ、同時に毎週斉唱を強いられた女。カメラはいじめをなくすことはできず更に。

監視(防犯)カメラというもので監視され続けるということの違和感から端を発し、見る(監視する)側、見られる側の想いの揺れが幾重にも描かれます。警官や恋人が「実は見ている」ということを言い出せない立場で、しかし見ていた映像にはしっかりと恋する人の行動が映し出されていて、嘘をついていることが小さな闇になっていく感覚。

警察や大学という権力の側のもの、というカメラのあり方は技術の低廉化にともなって誰にでも手に入るものになる、というあたりを見せるのは周到な感じ。覗きの道具という側面だけではなくて、積極的に公開するというライブカメラという形でプラス面を見せます。「一握りの人だけが見ている監視カメラよりみんなが見られるライブカメラのほうがずっといい」というのは、ネットに楽観的なアタシの立場に近い感じ。 作家はそこに理解をみせながらも違和感を隠さず、やはり「隠したいもの」があるのだと云っている気がします。「全ての場所に監視カメラが付き、心にも監視カメラが付くまで」というのは巧い言い方だよなぁと。

劇中劇として挟まれる「天使は瞳を閉じたら負け」(でしたっけ)はもちろん、鴻上作品の「天使は瞳を閉じて」からなのでしょう。天使は見守ることしかできない、ということを監視カメラに結びつける当たりもちょっと巧い感じ。

そんなに古くから第三舞台を見ているわけではありませんから偉そうなことを云えるわけではありません。が、作家に見えている今の世界の少し先に見えている危うさや希望の萌芽をベースにしながら、オンナノコと寝たいだの恋したいだのとか暗く思い悩む個々人に引きつけて物語を運ぶというのはほんとに昔のまま、という印象を受けます。全体として描いていることは一貫しているというか変わらないという感じなのですが、それが実に濃密で、アタシの気持ちを引きつけて離さないのです。映像もそうだけど、テキストとして音として繰り返し何度も聞いて噛みしめたい感じがします。

オーディションで選ばれた若者たち。不勉強にしてあたしはあまり知らない役者ばかり。(大久保綾乃は鴻上尚史のPodCastのアシスタントでしたが)。さすがに2年にもわたるオーディションを経て来ただけあって、若いなとは思わせても不安な感じは微塵もありません。もっとも、まだ線は細く、個性というところまでは云っていない印象がありますが、期待はさせる感じ。渡辺芳博という役者が大高洋夫の声に実に良く似ていて、声だけ聴いていると錯覚しそう。これに拘泥すると難しそうですが今回に関して言うとプラスに働いている感じがします。

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