速報→「Get Back!」グリング
2007.12.1 15:00
グリング、久しぶりの新作。奥行きの深さにどっぷりの110分。9日までスズナリ。
都会から越してきて民泊をしている家。妻の弟は結婚しないままいい歳になり、モデルガンが唯一の趣味で。ある日、親戚の漫画家一行が次回作を前にした保養に訪れる。原作者と作画担当の二人の女は古いつきあい。男のアシスタントはその地域のゼロ磁場なるミステリースポットに興味しんしんで。原作者は小説も始めているが、漫画の原作は正直ネタ切れで互いにも不満が鬱積していて。
物語を作る人、それを求める人。生み出す苦しみと作る側ではあるのだけど待つ苦しさ。劇中に出てくる「(物語を)怯えつつ、ねだる」という関係が目に浮かぶよう。 そこに男のアシスタントという間を取り持とうとする人を置きます。その土地の人として、独り身で一目惚れする男などを配置して、「旅行先ゆえに刺激を受けて浮かび上がる」三人の関係。
演出や役者や各種の効果というのももちろん重要なのだけど、「物語を作り出す人」というのはやはり特別な存在なのだろうと思います。誰にでも出来ることではないから、観客は作られた物語に敬意を払いたいし、作り手だってその物語を切望しているのでしょう。産み出す方の苦労は並大抵ではないのでしょう、劇中の「雑巾を絞ってやっとの思いで絞り出す一滴」という言葉は、重みを感じさせるのです。
ネタバレかも
長く続いてる関係を終わらせようとする人、気づいていながらそれにしがみつこうとする人、その板挟みで修復を続けるうちに狂う歯車が全体の骨格を作ります。個々には(不躾だったり何かに苛ついているということはあっても)それほど酷い人物たちではないのだけれど、「戻れ!」の望みも虚しく、壊れていく関係を見せつける舞台でアタシをぐいと掴んで離さないのです。
ゼロ磁場だの、UFOだの、タロットだのと、ちょっとSFというかオカルトをからめるのも巧い感じ。興味の関係というだけではなくて、狂気の萌芽が徐々に見えてくることを自然に見せることに成功していて、怖くもリアリティを持つのです。
役者は何れもが魅力的。村木仁という役者をこれほど正面切って見たことはないのだけど、抑えた感じもあって力を見たという感じ。遠藤留奈は近所の若い女性という役なのだけど、中盤の(自覚はしてないかもしれないけど結果として)おもねる感じのところ、ことさらな露出ではないのだけれど、こちらもアタシを掴んで離さない感じ、なのは意味が違いますかそうですか。
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