【芝居】「ファイナルファンタジースーパーノーフラット」劇団、本谷有希子
端から見れば軟禁状態なのにお互いに欲してその関係を維持しようとする関係。でもそこには「生身」の関係を欲しているわけではなくて。男は二次元コンプレックスともいうべき理想の女を追い求めて神格化し、女たちは追い詰められた自分を癒してくれる場を求めるという形の結実が寂れた遊園地という場に。
男が女に出会った瞬間の見せ方が好き。その一瞬、そのわずかな記憶と想いに全てを委ねていかなければならない男の気持ちがよくわかるし、終盤になってその場に渦巻いていた想いは実によく効いてきます。
軟禁された女に作家がいて、その夫、後輩で夫といい仲の別の女性作家という関係は、再演で加えられたもののひとつでしょう。まあ、書き換えられたところは非常に多いわけですが。作家の「書いてしまわずには居られない」という視点はどこか「腑抜けども〜」のピースがかいま見えますが、この男の妄想を骨子とする物語の世界にもう一つの視点を入れようとしているのは果たして必要だったか、というのはちょっとわかりません。「作家視線の物語を入れずにはいられない」という本谷自身の想い、ということなら理解できるのですが、そういう意図だったのかどうだったのか。
BRATSの初演では地下室一室という設定の上、中央に大きな肉体労働の機械が据えられていて、閉塞した一室に本当に監禁されている感じでした。今作では雑魚寝する部屋、機械室に加えて遊園地の外の風景というのを設定し、わりと広い吉祥寺シアターの舞台全体を使おうとするように世界を拡張しようとしています。観覧車のゴンドラなど確かに綺麗なシーンもあるのですが、「世間から隔絶して共棲している感じ」は薄れているというのも事実でしょう。本谷有希子の吉祥寺シアターは二回目(1)ですが、どこかしっくり来ない空間な感じは残ります。いい劇場だと思うしいたずらに大きすぎるわけでもないのに、三鷹の星のホールと並んで、難しい空間なのかもしれません。
吉本菜穂子は圧倒的な安定感で、笑わせる部分も含め実に安心してみていられます。笠木泉のひずみっぷりもちゃんとしっかり。
劇団、本谷有希子「ファイナルファンタジースーパーノーフラット」
2007.6.4 - 6.24 吉祥寺シアター
作・演出 本谷有希子
出演 高橋一生 笠木泉 吉本菜穂子 ノゾエ征爾 松浦和香子 高山のえみ すほうれいこ
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