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2007.02.25

【芝居】「モロトフカクテル」タカハ劇団

2007.2.25 19:00

◆沢山間違えましたので、訂正。ご指摘感謝。(2.26)

早稲田劇団で、高羽彩の作演による新作。学生運動浅間山荘から35年の歳月を経て彼女が描く地に足がついた感性が魅力で骨太。学生劇団とは思えないクオリティ。26日まで早稲田大学学生会館B203。

大学の部室。自治会の人数は僅か3人。6年も前から出されていた部室の収容が突然1ヶ月の期限を切られ実施されると通告された。出入りしていた少々うさん臭い活動家なる人物に指導を受けて反対運動を始める。同じ部室を共有している手話サークルも幽霊部員ばかりで実質二人だが、活動家には怪しさを感じて別に活動を始める。
うまくいかない活動の中、自治会に匿名のメールが届く。モロトフカクテルと名乗る彼は、不甲斐なく覚束ない彼らを応援するもの。部室にも同じ名前のノートが残っていて…

浅間山荘から35年なのだそう。アタシはリアルタイムでは体験していないし、大学でもその名残すら殆ど体験していません。ましてや現役の大学生である彼らにはもっと遠い時代の筈。早稲田という場所は今でも多少の名残を感じさせていることはあるかもしれませんし、そこに調査を加えて作られたであろう物語。が、何よりこの作品が力を持つのは、時代の背景は背景として取り入れながら、今の彼女たちや私たちの考えかたで、腑におちるように造形された人物たちが、納得いくように行動していると感じさせるように作られているからなのです。

アタシの友人は「現代の飛龍伝」とこれを評します。学生運動を描いた名作はたしかにそうだけど、年月を経た現代は戦い方すら忘れてしまった人々の話。闘争を嗅ぎつけてやってくる大人たち(これを「単に対立派だけにしないのが巧い)に翻弄されたり、感傷に理解を示してみたり。イマドキの芝居ですから「飛龍」なんてものが登場することもなく、世の中はそんなに甘くない着地点に行くことは予想出来ますが、それは大きな問題ではありません。

自治会役員というポジションの現代大学生における位置、戦うとはいっても状況をろくに知ろうとすらしていなかったり自分では判断していない危うさなど、現代のアタシ達のダメさや変節を物語を運ぶ道すがらできちんと書き込んでいて、観ている側にリアリティを感じさせます。

前回の企画公演で感じた「女性の視点の足下の確かさ」は今作でも感じ取れます。終幕での「理屈どうでもいい。アタシはいたく傷ついている(ことをどう考えるのか)」という視点は腑に落ちる(いや、あたしオヤジですが)感じ。35年前のカップルは物語の上では必ずしも登場しなくてもいい気はしますが、これがあることで何倍にも深みが出ている感じがします。

現代と昔、二つの時間軸で進む物語の行き来は軽やかでスムーズです。両方の時間軸に唯一登場する井手豊が味も軽さもあって見せます。タイトルや、夕焼けから夜から朝へと流れるシーン、終幕の印象的な赤など光がこの閉鎖した部屋での物語に時間をきちんと作り出します。

タカハ劇団「モロトフカクテル」
2007.2.23 - 2.26 早稲田大学学生会館B203
作・演出 高羽彩
出演  井手豊 浦井大輔(コマツ企画) 西尾友樹 中野嵩大 古木知彦 小崎宗冬 宮原かほる(劇団森) 今井理恵 垣内勇輝(北京蝶々) 斎藤加奈子 浅野真依 高羽彩

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