【芝居】「吉田鳥夫の未来」無機王
2006.11.16 19:30
静かに柔らかい物腰で語る優しさが持ち味の劇団。彼らの強みが安定している約105分。19日まで王子小劇場。
庭のある一軒家、縁側に面した畳の部屋。漫画家の家、家族、原稿取りの新人編集。出戻り寸前の娘は夜の仕事、その息子。
毎朝起きると記憶が13歳にリセットしてしまう男。前日の記憶を描いた漫画を毎朝読んで、記憶を取り戻す…
ジュブナイル、という思春期前半の少年少女を物語を、彼らが読むために書いたジャンルがあります。「金八」→「14歳の母」(その間、27年か...)という流れの昨今では生々しい年齢ですが、作家が得意とするこの年齢はジュブナイルという言葉のもともとの、もっと子供に近い姿にぴったりだと思うのです。
女優が男の子だったり、いい歳して中学生だったり、男のように暮らす女だったり、昼夜逆転していたり。物語の中でも現実の姿も様々にトランスしている人々。が、背景とは使われていても、そこよりは中学生前後の境界線上の危うさを描くのが作家の興味なのかなあと思うのです。その微妙さを好きだというのは30歳台後半のアタシは云いづらいですが(^_^;)
無駄とも思えるぐらいな細かさは演出の成果だと思います。たまたま最前列下手に座ったから気がついた、の伝染したストッキングとその直後だったり。
全体を通して、間や台詞まわし、ギャグすらも芝居臭いのは人によっては好きではないかもしれません。リアルではないのだけれど、ちゃんと安定した運びは安心なのです。
タイトルになっている人物は、起きるたびに記憶がリセットされる、いわゆる「頭の中の消しゴム」な人。彼の行く末を描くのが芝居の根幹です。彼がとどまっている年齢も中学生というのが、作家の見えている世界を端的に見せている気もします。
無機王「吉田鳥夫の未来」
2006.11.15 - 11.19 王子小劇場
作・演出 渡辺純一郎
出演 西山竜一 山田佑美 中島佳子 西松希 山崎康代 猪股俊明 金森勝 後藤里恵(beWIN) 小寺悠介 瀬戸口のり子 加藤和彦
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