« 【芝居】「美しい人妻」ブラジル | トップページ | 【芝居】「走れ恋人」散歩道楽 »

2004.12.19

【芝居】「消失」ナイロン

2004.12.19 14:00

紀伊国屋には何かを語らせてしまう力があるのですしょうか。ナンセンスの旗手といわれてたナイロンの新作、たった6人での、濃密な休憩なし2時間45分、笑い少なく体力整えて。当日券も出ています。26日まで紀伊國屋ホール、来年1月は大阪、北九州、滋賀、松本、盛岡、新潟を廻ります。

声高に何かを訴えることはありません。あくまでもごくごく静かに、笑いも少ないまま淡々と進むものがたり。が、あたしにとては、終盤、とても力強く、作者の怒りが見えてきたような気がしてなりません。深読みのしすぎ、つうか誤読かもしれませんが。それなのに、ほんとうに飽きずに見られるってのはすごいことだと思うのです。

トウキョウ娯楽日記こんな感じ?ODOSONカンゲキモード踊る芝居好きのダメ人間日記藤田一樹の観劇レポートしのぶの演劇レビューなどに先行レビューがあります。

以下、かなりねたばれ。これから見る方には興味半減間違いなしなので、がまんがまん。

家の中の一室、クリスマスパーティをする兄弟。弟はカラダが弱く、時々診察に来る男が居る。弟は綺麗な女性に好意を寄せていて、クリスマスに告白しようかとおもったりしている。二階を借りに来る女性、ガスを直しに来る男を交えて、6人のものがたり。

途中までは、さえない兄弟の物語かとおもっていたら、中盤からは失ったものを諦めきれない深い想いの話。が、終幕近くになって浮かび上がるのは、「忘れさせてしまう力」への、静かなしかし力強い怒りの作者の視線。人間だから忘れてしまうことはあるのだけど、何かの「ちから」が、綺麗さっぱり現実をなかったことにしてしまうということを許さないということだと思うのです。

芝居としては、ごく簡単に記憶を消して見せています。現実味のないフィクションとも読めますが、現実の世界の何かの比喩なのかもしれません。思い当たる彼の国、あるいはこの国。自分たち、子孫たちに都合のよい記憶だけを残していくことが、いったいどういうことなのか、クリスマスの場面を起点にしながら、悲惨な結末で突きつけてくるのです。

自分たちがやってしまったことはやってしまったこととして、それを認めることがどうしてできないのか、認めることがすべての出発点になるのではないか、と訴えている芝居ではないかと思うのです。オレンジの服を着た男は、実は体制側なのだけど、劇中、「あのときはうまくいくと思っていた、申し訳ない」という言葉をしっかりと伝えるのです。ラストでみせる、3人の影にしても、彼らはなかったことになってる、ということに見えて仕方なくて。

...なんて話だと、あたしは思うのですが、深読みのしすぎかなぁ。途中までは鉄腕アトムのように、失った物を取り返そうとするあまりのいびつさの話だと思っていて、そこを描く力点が強いなぁとは思うのですが。

ナイロン100℃ 27th session「消失」
2004.12.3 - 12.26 紀伊国屋ホール (12.2 プレビュー)
作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演 犬山イヌコ みのすけ 三宅弘城 大倉孝二 松永玲子 八嶋智人

|

« 【芝居】「美しい人妻」ブラジル | トップページ | 【芝居】「走れ恋人」散歩道楽 »

「演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

あぁ・・・・泣けてきた~・・・!
すごいですねー。そっか、あの謝る行為からそういう視点も汲み取れますよね。私も同意です。トラックバックありがとうございました!

投稿: しのぶ | 2004.12.20 08:49

TBありがとうございます。

今回、大御所の皆様で評価がけっこう分かれているの
ですよね。意外。

先日、TBして頂いたブログを読んだら小津作品に対す
るオマージュがあるということも知りました。想いも
沢山詰まっていると思いますが、遊び心も満載のよう
です。

これはDVD買っても良いかなぁ。でも、CSかWOWOWで
放送するかと思うと、ちょっと迷う。(笑)

投稿: あおし | 2004.12.20 15:21

トラックバック有難うございます。
素晴らしい解説ですね。
早くこういうの書けるように頑張ります。

投稿: シンシン | 2004.12.21 00:51

こんにちは。TBありがとうございました。
観劇したのがプレビュー公演だったのもあり、また翌日に他の芝居で衝撃を受けた所為でこの作品の余韻がちょっと薄らいでしまっているところへのTB、嬉しかったです。
26日の東京楽に足を運ぶので、またジックリとこの作品と向き合ってみようと思っています。

あ、27日、なにバタでニアミスですね。

投稿: | 2004.12.21 16:45

トラックバック、ありがとうございます!
本当に深い作品ですよね。
レビュー、興味深く拝見させていただきました。

投稿: 藤田一樹 | 2004.12.21 18:21

みなさまコメントありがとうございます。

#そか、TBもらったらこうやってコメントするのか...(←わかってなかったらしい)

読み返してみると、しっかし、ずいぶん思い込みで書いてるあたしです。感じた瞬間に書いてるから、後から読むとちょっと間違ってるのかなぁと思ったりもします。

投稿: かわひ_ | 2004.12.25 08:51

昨日ナイロン見てきました。
劇団健康のときから見てるんですが、今回の芝居は笑いも少なくて、寝そうになってしまいました。 でも隣にいた女の子が泣いているのを見て、知らない間に素直な心がなくなってきている自分に気づいてしまいました。皆さんの感想を呼んでも良い芝居だったんですね。でも大倉さんと三宅さんみのすけさんも見れて良かったし、大阪人としてまつうらさんがんばってといつも思ってしまいます・・。お笑い好きなので、次回は笑える芝居をと、ケラにお願いしたいです。

投稿: ユカ | 2005.01.09 13:38

ユカさん、コメントありがとございます。

健康の頃からご覧になっていると、4A.M.やらフローズンビーチや、今回のような芝居はどう映るのかなぁと思います。あまりに静かで長い芝居ですから、体調次第で寝てしまうのも確かだと思います。あたしが観たときは、きっと体調が絶好調だったのだなぁと思います。

今年はKERA MAPも、健康復活もありますから、笑える芝居満載じゃないかと思います。

投稿: かわひ_ | 2005.01.10 00:07

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/1562/2313608

この記事へのトラックバック一覧です: 【芝居】「消失」ナイロン:

« 【芝居】「美しい人妻」ブラジル | トップページ | 【芝居】「走れ恋人」散歩道楽 »